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中ザワヒデキインタビュー

イラストレーターから美術家に転身、「方法」の活動を経て、現在、府中市美術館の公開制作室で「脳波ドローイング」を制作中の中ザワヒデキさん。医学部出身でもある中ザワさんにとっての「美術」とは?東京・府中市美術館で公開制作の「脳波ドローイング」のあしすとをする藤田千彩がインタビューします。

INTERVIEWER 藤田千彩

人に歴史あり




脳波ドローイングとは?



11月4日&5日のライブパフォーマンスに向けて


これからの中ザワヒデキ



人に歴史あり


中ザワ
おはよう。

藤田
おはようございます。今回よろしくおねがいします。さっそくですが、中ザワさんについて伺います。

中ザワ
はい、どうぞ。中は漢字で、ザワヒデキはカタカナなんですよ。

藤田
あははは(笑)。中ザワさんのこと、名前は知ってるっていう人は多いですよね。

中ザワ
そうなんです。芸歴長いですからね。

藤田
芸歴って!

中ザワ
1983年から89年の7年間は、アクリル絵画のペインター、1990年から96年の7年間は、イラストレーターやってました。「バカCG」という作品群の時代です。97年に美術家へ転身し、現在に至ります。

藤田
私は美学校に行ってたときに出会ったのですよ・・・2000年くらいだったかな、中ザワさんがゲスト講師にいらしてたんですよね。「方法」を始められた頃で、それについて賛成・反対に分かれて討論するという授業だったんですよね。

中ザワ
そうそう、やったね、そういうの。

藤田
「方法主義宣言」がよく分からなくて。分からないながらも、方法のパフォーマンスやイベントは、だいたい見に行っていました。「方法」の活動は2000年1月1日から2004年12月31日までなさっていたのですね。

中ザワ
そうですね。

藤田
いまってどういう作品を作られているんですか?

中ザワ
「脳波ドローイング」です!

脳波ドローイングとは?

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1.脳波でドローイングする中ザワヒデキ
藤田
「脳波ドローイング」?!

中ザワ
「手で描かない 脳で描く」です!

藤田
えっ!どういうことですか?

中ザワ
こういうことです!(チラシ(画像2)を取り出す)

藤田
そういうことですか!(笑)


中ザワ
今まで他の作家で、脳波を使った美術作品もありますが、それとの違いを言いましょう。今までの作家は、脳波からのアルファ波をパラメータ抽出して、脳波を分析してその数値をもとに映像や音を鳴らすという作品にしているんですよ。

 
2
2.府中市美術館公開制作「脳波ドローイング」チラシ

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3.第三回府中ビエンナーレ&公開制作室のオープニングレセプション風景
藤田
難しそうですね。

中ザワ
僕のは全然単純で、脳波そのものを最終出力形態、脳波そのものを作品とみなそう、というわけです。

藤田
なるほど!

中ザワ
(低い声で読み上げる)
「画家は通常、筆や鉛筆を手に持って絵を描く。だが芸術創造の瞬間においては、手の活動よりも、脳の活動自体のほうが、より重要で本質的なはずである。そこで私は頭に電極を取りつけ、脳の活動を自ら制御することによって、絵を描くことにした。
医療の分野で「脳波」と呼ばれるその曲線は、美術の世界においては、手を介さずに脳が直接描いた「ドローイング」であるはずだ。」

藤田
・・・ともかく、「脳波ドローイング」という言葉は、単純で明確なネーミングですね。

中ザワ
そうそう、もうひとつあるとして、僕の絵画観、平面作品観なのですが、ペインティングとドローイングの2つの考え方があると思うんです。ペインティングは絵画であり、色である。ドローイングは線描であり、形であり、基本は線である。ドローイングを見るときは、線そのものを見たいのです。その意図から、1997年から《単一曲線》のシリーズを制作しはじめました。これはコンピュータで作っていて、つまり、マウスを使って手で描いています。ドローイングの系統における次なる試みとして、手を介さずに、脳で描こうということなのです。

藤田
そうだったんだー!
 

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中ザワヒデキ(なかざわひでき)
1963   新潟県生まれ
1983   日本グラフィック展入選
1990   個展「大ボケツ」(HBギャラリー、東京)
「バカCG」のイラストレーターとして独立
1991   「Digital Sight」(O美術館、東京)
1995   「3D LOVE」(東京都写真美術館)
1996   「3次元グラフィックス編集装置」で特許出願(取得1999)
1997   個展(ギャラリーNWハウス,東京)
方法芸術家に転身
2000   詩人、音楽家の立ち会いで「方法主義宣言」を発表
中ザワヒデキさん 
2001   第6回北九州ビエンナーレ〜ことのはじまり」(北九州市立美術館)
2002   文化庁芸術家在外研修でアメリカ・ニューヨークに滞在 (〜2003)
2003   「VOCA2003」にて奨励賞受賞
2004   「MOTアニュアル 私はどこからきたのか/そしてどこへ行くのか」(東京
都現代美術館)



 

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