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眞板雅文インタビュー


今、横浜美術館では、2007年4月21日〜7月1日まで、「水の情景−モネ、大観から現代まで」展を開催しています。前庭では壮大な竹の作品が、来館者や通行人をさわやかに出迎えています。
おかげで、入館前に姿勢を正し、胸をドキドキさせて入館されるお客さんも多いことでしょう。
このたび、その《竹水の閑−横浜》を制作された眞板雅文さんに、お話を伺うことができました。

INTERVIEWER 友利香
 


 
 
 
 
友利
眞板さん、こんにちは。見てきましたよ。ヨコハマ!
《音・竹水の閑》は以前、水の国と大原の2か所見ましたけど、ビルの中も、またいいですね〜。
これまで何か所でされているのですか?


眞板
この横浜で、12か所目だね。(数えながら)富山のにざやま発電所美術館から始まって、大分の朝倉美術館〜箱根彫刻の森美術館、岩手の石神の丘美術館、岡山の後楽園、島根・江津の水の国、福井・金津創作の森・・また岡山に戻って、倉敷・大原美術館、それから神戸・・これは震災復興祭のステージを摩耶山につくって・・そして今回の横浜。・・ん?途中にヘルシンキがあるから、12回目だね。
ぼくは、一度、街でやってみたかったの。横浜の作品は、垂直なビルの中に竹が斜めに入って・・よかったなあ。
気に入ってるよ。

友利
ええ、ほんとに綺麗でした。私なんて、(作品が)天からすーっと降りてきたというか、天がお創りになった・・みたいな気持ちになりました(笑)。


眞板
あなた、それはダメ!そんな、「きゃー綺麗!」とか言ってちゃダメ!
そりゃ、逆円錐の造形美と、竹の素材美とが結びついて、とても美しいけどね(笑)。
でも、これは「水」なの。コンセプトは「水」!

作品の前に立った時、一滴の水が、ポーーン・・と落ちて、波紋を起こしていく・・これを感じなきゃ。

自分の空間とか時間を大事に考えましょう、と言うか・・、動く波紋を目で追うのに下の方を見ていると、次は上が見たくなるでしょ。
地を見て天を見て・・宇宙観ですよ。
まあ、日々の雑踏の中で癒しになればいいよね。

友利
そ、そうですね(汗)。。以前、長野のアトリエのお話を伺ったことがありますが、眞板さんにとっての癒しは、畑仕事ですか?


眞板
チガウ!ぼくは自然の中に暮らしてるから畑もやるけど、お天気の日は家にいないよ。
一日中、山で遊んでる。
ちょっと茶花が欲しいと思ったら、散歩の時間をたっぷりとって、大自然の中で一輪の花を探したり。。

今、環境のこといろいろ言われてるけど危機だねえ。
四季のメリハリが薄れてなにか荒っぽい。

友利
眞板さんは、いつも、いろいろな方面のことをお話してくださいますね。


 
眞板
そうだよ。アーティストは、芸術!芸術!っていうだけじゃ寂しいね。
ちゃんと物事を考えるべきだし、もちろん芸術は芸術として関わりあって、芸術家なりのメッセージを言えばいい。

造形力とかは、大事なことなんだけど、そういう周囲の事象に意識を持って活動して欲しいと思う。

ただ彫刻を作ったからって、美術館に入ったからって、売れたからって喜んでいるようじゃあ、だめだと思うよ。
ぼくは。
 
 
そうそう、今度のサミットは洞爺湖だね。洞爺湖にぼくの作品があって、「昭和新山と対話させる、大自然と対話させる」つもりで作った作品だけど、こういう作品って、常に大自然の中に身をおいて、何でも総合的に経験していないとできない作品なんだよ。

友利
大変、急なのですが・・アーティストを志す若い人に何か、メッセージをいただけませんか?


眞板
若い人への言葉?「旅」をしなさい。「自分の足」で。
旅をして経験値を上げてよ。

アルバイトだってそうだよ。汗かいて、そこでいろんなもの見て、将来作家として役に立つことをしなければ意味がない。

友利
経験値は芸術家や若い人だけではなく、人にとって生涯必要なことですね。


眞板
そうそう、そうだよ。失敗は失敗でいいんだから。
ぼくだって、失敗はたくさんあるし。
大学の講演で学生に何度か話をするうちに気づいたのだけど、失敗談の方が熱心に聴いているね。
この前も学生たちに、42年間一人のアーティストとして生きてきたぼくの生き様を話したよ。
「アーティストって、タイヘンだよ。食えないよ。」ってね。(笑)
・・ぼくは、やっと今、作家としての生活に・・苦しくても入っているかなあ。










友利
眞板さんの言葉って、いつも私の気持ちを押すんですよ。
動きたくなる・・っていうか・・。
さて、今後のご予定はどうですか?


眞板
来年イタリアで現地制作の話があります。
それとこれも来年ですが、久々に東京での個展を予定しています。

友利
イタリア!!それは、楽しみです!
それと、眞板さん、これからもご指南よろしくお願いします。

今日はお疲れのところ、ありがとうございました。


「人生という旅も、自分の足で歩くんだよ。素足で。」
眞板さんは、そう言おうとされていたと思います。
これまで私が眞板さんの作品から頂いてきた「充ち足りた感触」「慈愛の感触」。
その上質さと大きさは、こうした日々の姿勢から生まれてきていたのですね。

横浜美術館「水の情景-モネ、大観から現代まで」は、7月1日まで開催されています。
みなさん、どうぞ足をお運びください。



眞板雅文(まいたまさふみ)
1944   中国東北部(旧満州奉天)に生まれる
1969   第1回現代国際彫刻展(箱根彫刻の森美術館)
1970   現代美術野外フェスティバル(横浜・子どもの国)
1971   第6回国際青年美術家展で大賞
1975   第6回現代日本彫刻展
1976   第37回ヴェネツィア・ビエンナーレ
1977   第10回パリビエンナーレ
1979   第1回リスボン国際美術展
眞板雅文さん 
1980   第1回ハラ・マニュアル
1981   日本現代美術展(韓国文化芸術振興院)
証人1981年(ポンピドゥーセンター)
1984   第9回神戸須磨離宮公園現代彫刻展でユニヴァーシアード神戸大会記念賞 11回で神戸市教育委員会賞
1985   第4回ヘンリームーア大賞展で優秀賞
現代彫刻の歩み(神奈川県民ホール)
仏文化賞現代芸術地域基金によりトロアで個展
1986   みなとみらい21彫刻展で有隣堂賞
第42回ヴェネツィア・ビエンナーレ
日本現代美術展(台湾)
国際アトリエ展(仏)
1988   青森EXPO88記念現代野外彫刻展で優秀賞
1989   神奈川県大磯町町制100周年記念モニュメント制作
鉄の彫刻展千葉 ’89
夢のかけ橋彫刻展で優秀賞
せとだビエンナーレ
1990   サンタ・バーバラ美術館(伊)で彫刻現地制作
1991   第14回現代日本彫刻展で宇部市市制施行70周年・野外彫刻30周年記念賞
1992   岐阜県土岐市シンボルモニュメント制作
みなみかた国際アートフェスティバル
1993   第15回現代日本彫刻展・で宇部市野外彫刻美術館賞
洞爺村国際彫刻ビエンナーレ
1994   第3回くらしきまちかどの彫刻展で大賞
安斎重男・眞板雅文展(神奈川県立近代美術館)
3rd北九州ビエンナーレ
1995   第16回現代日本彫刻展で神戸須磨離宮公園賞
第7回本郷新賞 第2回フジサンケイビエンナーレで佳作賞
港区御成門緑地に「連山夢想」設置
1997   第25回長野市野外彫刻賞(オリンピック記念特別設置)
眞板雅文展(下山芸術の村発電所美術館)
1998   眞板雅文展:蘇生構築ー天地に寄せて(99年にも開催 東京・スペース・カレイド)
岩手アートフェスティバルUK'98ランドアート・イン小岩井(岩手・小岩井農場)
第4回大分アジア彫刻展(朝倉文夫記念公園=大分・大野) 
1999   眞板雅文展(ギャラリー・ムーブ=横浜) 
微妙なる美の波動 眞板雅文造形展(石神の丘美術館=岩手・岩手町)
金津アート・ドキュメント'99−アジアの森から−(金津創作の森=福井・あわら)
彫刻の森美術館−森に生きるかたち−展(神奈川・箱根)
2000   眞板雅文展ー大地のかたち・ブロンズー(東京・INAXギャラリー)
ヘルシンキ2000 テーレ湾アートガーデン(フィンランド)
越後妻有アート・トリエンナーレ(新潟)
ガーデン−現代美術をとおしてみる後楽園(岡山・後楽園)     
眞板雅文展(02、05年にも開催、エスプリ・ヌーボ=岡山)
眞板雅文展 (諄子美術館=岩手・北上)
2002   東日本―彫刻 39の造形美(東京ステーションギャラリー)
20世紀。美術は虚像を認知したーモナリサとマンモンのあいだでー(神奈川・平塚市美術館)
2003   眞板雅文展:音・竹水の閑(大原美術館=岡山・倉敷)
眞板雅文展:竹水の閑(インフォーム・ギャラリー=金沢)=金沢
眞板雅文展:彩りの譜(06年にも開催、京都・アートスペース感)
眞板雅文展(水の国ミュージアム104°=島根・江津)
眞板雅文展(仙台・ギャラリー青城)
水ありて竹 眞板雅文展(大阪・アートコートギャラリー)
葉山館開館記念展 コレクションによるもうひとつの現代(2004年1月25日まで、神奈川県立近代美術館=神奈川・葉山)
幻想と幻視(神奈川・平塚市美術館)
第20回現代日本彫刻展 で20回記念(土方定一記念)特別賞
2004   あるサラリーマン・コレクションの軌跡〜戦後日本美術の場所〜(福井県立美術館他)
刻ー環流 眞板雅文展(2005年1月23日まで、岐阜・みのかも文化の森美濃加茂市民ミュージアム)
2005   SPACE WALKING開館10周年記念展(下山芸術の森発電所美術館=富山・入善)
街かど美術館「アート@つちざわ<土澤>」(岩手・花巻)
2006   野外彫刻ながのミュージアム 33年の軌跡展(長野市生涯学習センター)
光が彩なす交響楽ー眞板雅文のインスタレーションー(2007年3月20日まで、岩手県立美術館)
2007   眞板雅文展(香川・あーとらんどギャラリー)
作品出展 「水の情景ーモネ、大観から 現代まで」展(横浜・横浜美術館)
JUNGE KUNST AUS JAPAN(独ロストック美術館)

 



 

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