《ア・バード、ブラスト #00130 2006》
石灰岩の山の取材中に、ダイナマイトで発破する風景に出会い、そのダイナミックな瞬間をとらえた作品が《ア・バード、ブラスト #00130 2006》である。瞬間の出来事なので遠隔操作で一気に36枚を撮影、その中の1枚のようだ。この他山が爆発する瞬間を撮影した大画面の映像作品も見ることができた。写真で表現されている岩や石が周囲に飛び散る様子だけでも凄いのに映像での発破の光景たるや圧巻だった。
《陸前高田市の風景》
震災後の写真が60点展示されていた。津波で全てを失った市内の様子、がれきの山、傾いた家など痛ましい風景が延々と続く。震災直後の3月から5月の初めまでの間、何回も郷里を訪れ撮ったものであろう。すでに半年以上経つ。現在どうなっているか。ここが問題であろう。同じような状態か、復旧が進んだのか、とつくづく思う。プロの写真だけに鮮明で的確、迫力あるものだった。これからは冬季を迎える。北の地である。一刻も早い復旧、復興を願わずにはいられない。
印象に残った作品が多かった。非常に冷静沈着に撮影しているという印象が強かった。地平線を撮った日本では見られない光景は印象に強く残っている。陸前高田の風景も改めてすさまじさを思い知らされた。また、ブラストの写真と映像はダイナミックで迫力そのものを感じさせる。《#00219》は縦型作品で近景は下に遠景は上に表現され、典型的な山水掛け軸の日本画的手法を感じさせ面白い。ヨーロッパアルプスや氷河の光景も何と表現したらいいか、冷静そのもので厳然とした姿は見事だった。まだまだあるが写真の魅力を十分堪能できた。また、どのように自然を切り取るかなど自然を撮影するための根幹に触れることができ参考になる写真展でもあった。