「創造の劇場」
20世紀の芸術家を10名選び、森村版セルフポートレイトを制作。森村は、この10名について「私の選んだのは、ピカソ、藤田嗣治(レオナール・フジタ)、手塚治虫、エイゼンシュテイン、ポロック、ウォーホル、デュシャン、イヴ・クライン、ダリ、ボイスです。皆さんはどのように選びますか」という。
せっかくなので私も選んでみた。まず、デュシャン、ウォーホル、ボイス、ポロック、ピカソまでの5名は同感である。日本人を入れると当然藤田嗣治(レオナール・フジタ)だ。6名になる。後はと考えたが、残る4人を選ぶとなると難しい。結局私の場合は結論が出なかった。でも10名中6名までは意見が一致したので私としては満足だった。ちなみに私の選んだ上記5名は頭に浮かんだ順。
藤田はおかっぱ頭とメガネがよく似ている。後ろにいる3名の裸婦はすべて森村が演じている。藤田を含めて森村が4人登場していた。
ポロックの作品はどうか。あの有名なドリッピング場面はポロックそのもの。ところが周りを見ると森村の作品、なぜか、ダ・ヴィンチの≪大洪水≫もある。ポロックの特徴をよく捉えた森村オリジナルだった。
デュシャンである。広い画廊?でデュシャンが裸婦ローズ・セラヴィと真っ白いテーブル上でチェスをしている。チェスはオノ・ヨーコの作品≪ホワイト・チェス≫だそうだ。「できるかな?」である。“あれっ!”廻りの壁にある作品は森村のものだ。テーブルのすぐ後ろはデュシャンの≪大ガラス≫東京ヴァージョンである。デュシャンの前で東京ヴァージョンとは?である。
もう一人ボイスを見よう。ボイスのトレードマークは中折帽とベスト着用だ。ボイスは黒板を使っていろいろ書くようだ。ボイス風森村は帽子とベストを身に付けて黒板の前に座っている。背後の黒板に書かれているのは、宮沢賢治の詩のドイツ語訳だそうである。宮沢賢治を森村は好きだということ、宮沢の郷里が岩手県で北国をイメージしドイツと重なるように思うからだそうである。
すべてが森村のセルフポートレイトだというだけでなく、同時に森村作品を取り込むなど森村オリジナルをいかんなく発揮し、森村の考え方が細部にまで浸透しているのには感心した。それだけに面白い。10名すべてに当てはまる特徴だろう。