Chim↑Pom(6人組アート集団)
このグループは原美術館の「マイクロポップ的想像力の展開」展で見た。≪イケてる人達みたい01≫(2008)は、火を使った映像作品である。着想がユニーク、ユーモアある作品だった。
インターネットでChim↑Pomへのインタビュー記事には「面白くなければ意味がない」、「もっとシンプルに、ギャルがバンドをやるような世界になっていった方が面白さの幅も世界的に広がっていくと思ってます。」などという。Chim↑Pomの特徴そのものだ。
作品≪Show cake xxx!!≫は、中央にロダンの≪接吻≫を流用した作品が置かれ、その周辺は飲み物、食べ物が散らかり放題で手に負えない。正面の壁面にはART IS IN THE PARTYと食べ物を使って書かれている。後かたずけしないパーティ後の現場だ。ここでいうARTはロダンの≪接吻≫を指しているのだろう。ARTもこの雰囲気の中では台無しである。よく見ると接吻場面は1本の短いポッキーチョコを男女が相互にくわえているだけ。「高尚」なロダンの作品とは全く乖離していると言いたげ。アートの現況を的確に指摘しているようだ。ロダンが悪いわけではない。ARTをロダンの作品で代表できないほど現況は変わっているとの表現だろう。いかにもChim↑Pomらしい発想で痛快。まさに的を射ている。
小金沢健人(1974〜)
水の入ったコップの縁を指でしきりにグルグルと撫でている映像作品である。この動作を映像に撮り編集し、室内4面の壁面に数多くの同じ映像を少しずつ時間差を設けて映したものだろう。周りからは単調だが、不思議な「音」のハーモニーが流れる。心地悪くはない。コップの縁を撫でるだけで音がでるものだろうか?と思う。小金沢は、身の回りにあるものを作品の素材として用い、意表をつく方法で手を加え、「動き」や「音」などと組み合わせることで、日常の中に潜む謎や美しさを現出させるそうである。「単調な動作の連続」と「不思議な音のハーモニー」が印象に残る。発想はユニークで面白いが、作品としてやや単調か。タイトルは≪CANBEREAD≫である。Can be readと書かないところが狙いか。でも内容はややわかりにくかった。