図書「美学への招待」(佐々木健一著 中公新書)で、芸術について興味のあるわけ方をしている。
「永遠の芸術」と「現代的芸術」に分類し、それぞれを「永遠型」と「問題提起型」とし、「永遠型」に、クールベの「オルナンの埋葬」、モネの「印象・日の出」を、「問題提起型」にはデュシャンの「泉」(間接的に)、ウオ―ホルの「ブリロ・ボックス」を取り上げている。「永遠型」は知覚の問題であり、「問題提起型」は観念(コンセプト)の問題であるとしている。
したがって、「現代美術作品」を見る場合、コンセプトがどうかをみることが理解に繋がるのではないか。前述の“思考する世界”である。
作品を見てそのコンセプトが分かる場合もあるし、分からない場合もある。分からなくとも何となくいい作品だと思えるものもある。分かると興味を覚える、説得力を増す。分からなくて苛立つものもある。これらが渾然一体となって見る側を刺激する。
分からなければ、どうしても分かろうともがくこともある。これも大切である。
時には、“なぜか惹かれる”、“面白いと思う”、“また見たいと思う”、“何時までも記憶に残る”などいろいろな形でわれわれを魅了する。
21世紀になった今、時代に遅れないために、もう一度、時代に会った見方をすることが必要ではないか。いくつかの「物差し」を用意し、柔軟に使い分けることであろう。
印象派展で見たセザンヌからとんでもないところまで来てしまった。セザンヌと現代美術もそう遠いところの問題ではないように思う。現代美術もセザンヌの延長線上にあるのだから。
著者プロフィールや、近況など。
菅原義之
1934年生まれ、中央大学法学部卒業。生命保険会社勤務、退職直前の2000年4月から埼玉県立近代美術館にてボランティア活動としてサポーター(常設展示室作品ガイド)を行う。
・アートに入った理由
1976年自宅新築後、友人からお前の家にはリトグラフが似合うといわれて購入。これが契機で美術作品を多く見るようになる。その後現代美術にも関心を持つようになった。
・好きな作家5人ほど
作品が好きというより、私にとって興味のある作家。クールベ、マネ、セザンヌ、ピカソ、デュシャン、ポロック、ウォーホルなど。 |
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