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美術館、専門家のための美術
100年後に
北九州市立美術館
がどうなっているかを占い師に問う、《THREE FORTUNE TELLERS》という映像作品がある。
second planet
によるもので、2004年6月5日〜8月1日に北九州市立美術館に展示された。その中のある占い師によると、100年後には美術館はないそうだ。
美術って専門家だけのためにあるみたいだ、とよく思う。美術は美術のためにあるみたい。今までの常識をひっくり返して現実を変えていく力を持っていると思うのだけど。美術館は税金を費やす公の機関だから専門家以外の人のために教育プログラムがあったりするけど、教育とか啓蒙されなきゃ理解できない美術をわざわざ見に行く人なんて限られている。限られた人にしか伝わらなかったら、美術が持っている力は充分発揮されない。
美術館で展示されたこの作品は現在
web上
でも見ることができる。また、数々のアーティストも参加するプロジェクト"FORTUNE TELLERS"となって金沢市のアーティスト・イニシアチブ・スペース「
BABA
」でも展開された(2005年3月8日〜21日)。
よく目にする美術館という制度についての議論に対して、それを占い師に尋ねるという視点をずらしたユーモアと最初は思えたけどそれにとどまらない。この作品の足あとがそのまま、美術館以降の美術の在り方を示しているように思える。美術館の今後に答える占い師の言葉は美術館に未来はないのではないかと思わせるが、美術を美術として囲う制度である美術館がなくなったら、美術はどこへ行くのだろうか。お店(ギャラリー)はどうしても利益を得なければ存続できない存在だし、優れた美術が常にお金になるとは限らない。作品を見てそんなことを考えていて、はたと自分が作品を見ている状況に気付くとその場はWEBであったりBABAのような自発的な非営利の場であったりすることになる。
それぞれの状況を取り込み成長していくこの作品に、今後どこでお目にかかれるか楽
しみにしたい。
(写真/THREE FORTUNETELLERS/web versionより)
TEXT 中村千恵
著者プロフィールや、近況など。
中村千恵(なかむらちえ)
1979年、愛知県豊田市生まれ
2000年、北九州で美術に出会う
現在、働く美術好き
将来、美術を仕事にしてる(目標)
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